公開シンポジウム(一般公開)・講演会(会員限定)

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公開シンポジウム(一般公開)・講演会(会員限定)

日時 2023年12月2日(土) 午前 10:00~11:50、午後 13:00~15:30
場所 中山記念会館 1階 大会議室(神戸)※対面開催のみ(後日オンデマンド配信:午前講演のみ)
内容
午前(会員限定)講演会
テーマ
「英国のECLO(Eye Clinic Liaison Officer)とROVI(Rehabilitation Officer for Visual Impairment)の関係から考える持続可能な視覚障害リハ・教育のあり」
講 師
中野泰志氏(慶応義塾大学経済学部 心理学教室)
午後(一般公開)公開シンポジウム
テーマ
「持続可能な歩行訓練を目指して 歩行訓練士が進むべき道」
シンポジスト

・厚生労働省
周藤 方史 氏(厚生労働省 障害福祉部 障害福祉課 障害福祉専門官)

・歩行訓練士
原田 敦史 氏(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害センター)
岸本 和宣 氏(岡山県視覚障害者協会 地域生活支援事業所みちしるべ)

・当事者
藤原 奈津子 氏(HOTPOT KOUBE)
三宅 隆 氏(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 組織部)

コメンテーター 中野 泰志 氏(慶応義塾大学経済学部 心理学教室)

コーディネーター 田中 雅之 氏(名古屋市総合リハビリテーション事業団)

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この度、ホームページをリニューアルいたしました!
今後ともよろしくお願いいたします。

2023年度 夏季研修会アーカイブ【報告】

日時:2023年7月8日(土)
場所:日本点字図書館(東京)
形式:対面形式(一部オンラインあり)

講演①
テーマ:「白杖 便利グッズについて」
講師:村尾 正豊 氏(日本点字図書館 用具事業課長)
スライド(事前配布用)

講演➁
テーマ:「ロービジョン検査判定料と連携」
講師:清水 朋美 氏(国立リハビリテーションセンター病院 第二診療部長)※オンラインにて講演

事例検討①
テーマ:「歩行訓練の声かけ」
発表者:神屋 郁子 氏(社会福祉法人 大分県盲人協会)
発表概要(報告)

事例検討➁
テーマ:「視覚障害者誘導用ブロック・エスコートゾーン等の不適切な改修、敷設状況への対応事例」
発表者:保坂 亨 氏(岐阜県立岐阜盲学校)
発表概要(報告)

2023年度 第1回ZOOMによるミニ研修会報告

日時:2023年6月2日(金) 19:30~

形式:Zoomによるオンライン開催

内容:

《第4回》【+α企画】歩行訓練士が活躍する施設を知ろう!

発表者:内田 まり子 氏(神奈川県ライトセンター)

視覚リハの社会資源に恵まれた施設の紹介や訓練の状況などを発表。

参加者から、やりがいについてや困難さについての質問があった。

 

話題提供

「歩行支援アプリについて語ろう!」

4月に公開して、現在7000ダウンロード中の「Eye Navi」についての話題提供後、3~4人のグループディスカッションを実施。

近年の様々な歩行支援アプリについて

・実際に、訓練の場面で使用しているのか。

・お勧めのアプリは。

・そもそも使用には推進派・慎重派。など。

グループディスカッション後に、全体で共有して終了しました。

参加人数:37名


次回のご案内:

2023年度 第2回ZOOMによるミニ研修会

日時:10月6日19時半~21時

場所:ZOOMのみ

内容:

《第5回》【+α企画】歩行訓練士が活躍する施設を知ろう!

島田 延明 氏(社会福祉法人 日本点字図書館 自立支援室)

 

話題提供

「白杖の選定」

グループセッション(3~4人/20分程度)

視覚障害について

視覚障害とは

平成28年の厚生労働省の調査によれば、視覚に障害のある方々の数は31万2千人とされていますが、これは、国の定める基準に該当する、身体障害者手帳を交付さされた方々に限った数字であり、その基準に該当しないまでも一定の見えにくのある方々の数は、164万人にのぼるとの推計もあります。
見えにくさは、眼球から脳に至る視覚情報を得るための一連の機能のいずれかに不具合が生じることによって起こりますが、原因は、疾患のほか、加齢や事故によることもあります。また、生じる時期は、先天性の要因により幼少期から生じることもあれば、年齢を重ねた段階で生じることもあります。

視覚障害は、視力障害と視野障害に大別されます。

視力障害は、適切な矯正を行ってなお一定以上の視力の向上が難しい状態です。眼球の透明な部分に濁りが生じ、鮮明な映像を得ることが難しくなる結果として視力が低下する場合もあります。

視野障害には、視野が狭くなるもの、一部が欠けるもの、それらの症状が進んだ結果、中心や周縁の限られた部分にのみ残るものなどがあり、例えば、視野の中心部分にのみ視力が残る求心性視野狭窄や、逆に、視野の中心部分の視力が失われる中心暗点と呼ばれる状態などがあります。さらに症状が進んだ結果として、視力が失われることもあります。

視覚に障害があるといった場合、全盲と呼ばれるほとんど見えない状態の方々ばかりでなく、弱視(ロービジョン)と呼ばれる限られた見え方で生活を送っている方々がおられ、その見え方によって困難が生じる場面や事柄は様々であり、その結果、必要となる支援も異なることに注意が必要です。だからこそ、それぞれの見え方を的確に把握して、適切な支援を行う必要があります。

ロービジョンとは

ロービジョンについての定義をご紹介します。

世界保健機関 (WHO) の定義

ロービジョンとは矯正眼鏡を装用しても「視力が0.05以上、0.3未満」の状態

公益社団法人日本眼科医会 ロービジョンケアの定義

視覚に障害があるため生活に何らかの支障を来している人に対する医療的、教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的等すべての支援の総称である。発達・成長期にある小児に必要なハビリテーションあるいは主に成人の中途障害に対応するリハビリテーションを目的とする。
よりよく見る工夫(例:視覚補助具、照明)、視覚以外の感覚の活用(例:音声機器、触読機器)、情報入手手段の確保(例:ラジオ、パソコン)、その他の生活改善(例:点字図書館、生活訓練施設)、進路の決定(例:特別支援学校、職業訓練施設)、福祉制度の利用(例:身体障害者手帳、障害年金)、視覚障害者同士の情報交換(例:関連団体、患者交流会)等ができるよう情報提供し、諸種の助言、指導あるいは訓練を行う。

日本ロービジョン学会 ロービジョン関連用語ガイドライン 弱視の定義

「弱視」には「(医学的な)弱視」と「(社会的な)弱視」がある。
「(医学的な)弱視《(いがくてきな)じゃくし》」amblyopia
乳幼児期の視機能が発達していく過程における視性刺激遮断が原因で、正常な視覚の発達が停止あるいは遅延している状態。
「(社会的な)弱視《(しゃかいてきな)じゃくし》」partially sightedness, partially sighted, partial sight
視覚障害はあるが、主に視覚による日常生活および社会生活が可能である状態。

日本眼科医会報道用資料(平成21年9月17日)

「視覚障害がもたらす社会損失額、8.8兆円!!~視覚障害から生じる生産性やQOLの低下を、初めて試算~」世界的には良い方の目の矯正視力が基準
米国の基準を用いて推計
ロービジョン: 良い方の視力0.1以上0.5未満
ロービジョン者:144万9千人
失明:良い方の視力0.1以下
失明者:18万8千人
視覚障害: ロービジョン+失明
視覚障害者:約164万人

盲ろうとは

盲ろうとは、目(視覚)と耳(聴覚)の両方に障害を併せ有する状態を指すが、その障害の状態や程度は様々である。見え方と聞こえ方の組み合わせによって、「全盲ろう」、「全盲難聴」、「弱視ろう」、「弱視難聴」という4つのタイプに大別される。また、障害の発症時期によって、先天性の盲ろう者、中途で障害を発症した中途盲ろう者など、盲ろう者になるまでの経緯も様々である。

盲ろうとは

2012年度に社会福祉法人全国盲ろう者協会が実施した「盲ろう者に関する実態調査」において、「視覚と聴覚の両方の障害の身体障害者手帳を公布されている者」は、約14,000名であった。また、2017年度に国立特別支援教育総合研究所が実施した実態調査では、全国の特別支援学校に在籍する盲ろう幼児児童生徒数は約300名であった。そして、視覚と聴覚の他にも、知的障害、運動機能障害、内臓疾患など、さまざまな障害を有していた。

盲ろうは、視覚と聴覚からの情報が入らない、もしくは入りにくいため、情報入手、コミュニケーション、移動など、様々な場面で困難が生じる。
盲ろう者が得られる情報は、直接触れるか、保有する視覚と聴覚で把握できる限られた範囲にある不鮮明な情報に限られる。これらの情報は、一度に取り入れられる情報量が極めて少なく、非常に多くの時間と集中力が摂取と処理に必要とされる。

また、コミュニケーションについては、一対一が基本であり、時間もかかるため、コミュニケーションの量が圧倒的に少なく、多くの時間と配慮を必要とする。先天性の盲ろう者が言語を獲得するまでには、多くの時間と学習の段階が必要であり、後天性の盲ろう者は、既に身につけているコミュニケーション手段と障害の状態に応じて、様々なコミュニケーション方法をとっている。以下に、盲ろう者の主なコミュニケーション方法を挙げる。サイン、手話、触手話、指文字、触指文字、点字、指点字、手書き文字、普通文字、拡大文字、話しことば、キュード・スピーチなどである。

白杖(盲人安全つえ)について

1 白杖の機能

白杖は身体障害者福祉法では『盲人安全つえ』と記されていますが、一般的には白杖(はくじょう)と呼ばれています。白杖の携行については道路交通法第十四条に『目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ)は、道路を通行するきは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。』と定められています。車両の運転者は障害を持つ人に対し特に安全を配慮する義務を持ち、その対象であることが分かるように白杖の携行を義務付けているわけです。このように、一般通行人や車両運転者に対して視覚障害を持つことを知らせる働きは、白杖の果たす機能の一つであるといえます。また、この機能を含め、白杖には以下の3つの機能があります。

(1)
視覚障害を持つことを周囲に知らせる
(2)
触覚を通じて路面の情報を収集する
(3)
路面上にある障害物を検知する

1-1 視覚障害を周囲に知らせる機能

白杖は現在世界中で使用されおり、世界中の多くの人が、白杖を使う人が視覚障害者であることを知っています。このことから、白杖を持つ人は周囲の車両や人から衝突等の危険が生じないように配慮を受け、困っている時には援助の手が差し伸べられやすくなっています。

1-2 触覚を通じて路面の情報を収集する機能

見えない、見えにくい状態で知らない場所を歩く時に生じる怖さの一つは、「そこに道(床)があるか?」ということではないでしょうか。駅のホーム、下り階段、側溝、蓋の空いたマンホール等、落ちたらケガをしたり、命を落とす危険があるかもしれません。白杖は、次に足を運ぶ場所に触れて、路面があることを確認する道具として使うことができます。

1-3 障害物に対する防御の機能

見えない、見えにくい状態で歩く際のもう一つの恐さは、何かにぶつかることでしょう。硬いものにぶつかれば大けがをする可能性があります。白杖を身体の前で斜めに構えるか、身体の正面前方で肩幅よりも少しだけ広めに低く振りながら歩けば、路面から垂直に出ている障害物や段差を事前に発見できることができ、身体をぶつけたりつまずく危険性を低くすることができます。

2 白杖の形式

白杖はつなぎ目のない直杖(rigid canes)、つなぎ目のある折り畳み式杖(folding canes)、アンテナの様な伸縮式の3種類があります。折り畳み式杖は一般的に5cm刻みの寸法で売られています。また、白杖には使用目的の異なるものがあります。白杖のみで歩くためには2歩先を探る長さが必要なため、その目的で使う杖をロングケーン(long cane)と言います。白杖の3つの機能を使うのではなく、主に周囲に視覚障害を知らせる目的で使う短めの杖をIDケーンと言います。(英国ではロービジョンの人が対角線技術で使うための白杖をガイドケーンとよんでいます。)また、IDケーンの特徴と整形外科等で使う身体を支えるための杖の特徴を併せた身体支持杖(サポートケーン)があります。

3 白杖に必要な仕様

機能的な白杖であるためには、以下のような性質をもっていることが望ましいと言えます。

(1)
触覚情報の伝導性が良く、温度や電気の伝導性が低いこと。
(2)
適度な軽さであること。
(3)
重心がグリップ寄りにあり、操作時に重さを感じないこと。
(4)
強さ、耐久性、剛性、形態安定性を備えること。
(5)
昼夜共に視認性が高いこと。
(6)
握りやすく、操作性が良いこと。

直杖と折畳杖を比較した場合、(1)、(2)、(4)については直杖の方が優れています。折畳式の白杖は歩かない時に小さくたためることが長所です。(1)については例えば折畳式杖が極端にものに触れた時の感覚が鈍いかというと、実際はそれほどその差は大きくはありません。比較すれば直杖の方が良いという感じです。ただし感覚は個人差があるので、実際の違いは確かめていただくのが一番良いでしょう。(4)については、つなぎ部分があると、その部分がどうしても破損しやすくなります。しかし、白杖が破損した場合、折畳式白杖は破損した部品のみの交換が可能ですが、直杖はシャフトを丸ごと交換する必要があります。

4 白杖の材質と特徴

現在市販されている白杖の主な材質はアルミニウム合金、グラスファイバー、炭素(グラファイト、カーボン)繊維、アラミド繊維の四種類です。素材の比重(水を1とした場合の重さの比)だけを比較すると、アルミニウム合金2.7、ガラス繊維2.6、炭素繊維1.6、アラミド繊維1.3で、アルミニウム合金が最も重く、アラミド繊維が最も軽いのですが、比重は杖の重さに関係しても、強度には必ずしも関係はしていません。アルミニウム合金とガラス繊維を比較した場合、アルミニウム合金は強度が高くガラス繊維は低いため、強度を高めようとするとガラス繊維の杖は重くなります。炭素繊維とアラミド繊維を比較すると炭素繊維の方が強度は高いため、同程度の強度の白杖であれば重さは大差ありません。アルミニウム合金は摩耗性がもっとも低く丈夫な素材ですが、弾性に欠けるため、変形しやすいことが難点だと言えます。

5 白杖の構成

白杖は4つないし3つの主要部分から構成されています。クルック(crook)、グリップ(rubber grip)、シャフト(shaft)、石突き(cane tip)です。

5-1 クルック

クルックとは傘の柄のように、丸くまるまった部分をさし、機能として次のことが上げられます。

(1)
使わないときにフックなどに掛けておく。
(2)
白杖を構えたときにクルックは自然と下を向き、構える位置を容易に判別できる。
(3)
対角線技術で白杖を使うときに手首を保護する。
(4)
傾斜路で白杖を落としたときに、白杖が転がらない。

5-2 グリップ

グリップは白杖を握りやすくするために付けられており、材質はゴム製のものが多いです。ゴルフのパターグリップを流用したのが始まりだといわれています。多くのグリップは一側面が平らになっており、ここに人差し指又は親指の腹の部分を当てます。クルックの付いた白杖の場合、クルックを下に向けて白杖を握るので、クルックのある白杖は右利き、左利きそれぞれ専用になります。
ゴムグリップは滑りにくく、熱の伝導性が低いことから白杖が熱い、あるいは冷たいときでもグリップは適度な温度を保ってくれます。なお、ゴム以外にもプラスティック、皮革あるいは皮革製テープを巻いたもの、金属製などのグリップもある。デザインケーン以外のグリップの上の部分には、ゴムひもが付いていることが多いです。利用者の中には白杖を落とさないように、このゴムの輪に手首を通す人がいますが、自動車等に白杖を巻き込まれると身体を引き込まれる危険性があるので、腕を通して使うことは好ましくありません。これはフック等に白杖をかけるためのものです。

5-3 シャフト

シャフトは白杖の本体部分を指します。材質やその特性は前述の通りです。販売されている多くのものは反射テープが巻いてあるため、夜間の視認性が高いことも前述の通りです。

5-4 石突き(チップ)

石突きは1)路面との接触によるシャフトの磨耗を防ぐ、2)白杖が路面に接触する際の引っ掛かりを和らげるという2つの機能を果たしながら、路面からの触覚情報をより多くシャフトに伝える役割を果たしています。使い勝手、機能性を考えると後者の機能はとても重要です。通常購入時に付属している石突はノーマルチップと呼ばれるもので、シャフトよりも一回り太い円柱形の石突であることが殆んどです。路面との接触面積が小さいことと、未使用時は円柱形の形状をした石突の角部分で路面に触れるために路面の凹凸に引っ掛かり易いのですが、使用するまえに路面に当たる角度で石突を削っておけば、引っ掛かりを少なくすることができます。石突の素材は適度に摩耗するナイロン製のものが多く見られます。
現在日本で手に入る石突きはほとんどがシャフトの上から被せるタイプです。石突きは機能面で分類すると以下の3つの群に分けられます。

1) シャフトに固定された状態で使用する形式
シャフトの直径よりやや太いノーマルチップ、太く短くして接地面積を増やしたマシュマロチップ、マシュマロチップを背接地面の形状は同じで、しずくが落ちる形をしたティアドロップチップ、直径が55mm程の球形をしたボールチップ(米国製)、直径20mm程度の半球状をしたセラミックチップ(米国製)等がある。

2) 本体が回転する形式の石突
形状がマシュマロチップと同形のローラーチップ、直径65mm、厚さが25mmのディスク状をしたジャンボローラーチップ(米国製)、ボールチップを同じ形状のローリングボールチップ(米国製)等があります。

3) 軸と石突の間にゴムをマウントして石突本体が動く形式のもの
国産のパームチップ、米国製のフレックスチップがあります。
上記以外の特殊な石突として雪道用のスノーチップ(ノーマルチップにかぶせて使用)、同じくダコタディスクチップ(米国製)、直径76mmの大きな車輪がついたローバー・フリー・ホイーリングチップ(荒れた道用・米国製)等があります。米国製の一部は国内でも入手可能ですが、取り扱いのないものについてはAmbutechのホームページから購入が可能です( https://ambutech.com/shop-online/cane-tips )。

石突の種類がこれだけ多いのは、使用する環境、白杖の使い方に応じて石突を変えると歩きやすさ、使い勝手が大きく変わるからです。基本的には上述したように接地面積が大きいほど路面への引っかかりが少なくなり、ストレスは減少しますが、質量が大きければ重くなり長時間の操作で疲労しやすくなります。軽さ、触覚情報の伝導性を最優先するのであればノーマルチップ、メタルチップ、セラミックチップ等が選択肢として上げられ、伝導性を優先しつつ引っかかりを軽減したい場合はマシュマロチップ、ティアドロップチップが選択肢として上げられます。引っかかりの軽減と軽さを最優先したい場合はパームチップ、フレックスチップが選択肢として上げられます。ローラーチップ系はタッチテクニックの習得が難しい、あるいは好まない人の選択肢となり、チップの大小は重さに直結しますが、大きい方が路面の凸凹を拾いにくく、操作時のストレスは少なくなります。

引っかかりを避ける目的として、アメリカにはcurved tip といって、ノーマルチップを熱で100度の角度をつけて曲げたものがある。これは地面に対する引っ掛かりを軽減するために作られたものです(LaGrow, Kjeldstad & Lewandowski, 1988)。LaGrow et al.(1988)は15人の晴眼者を被験者に使い、アイマスクをかけてノーマルチップ、curved tip、マシュマロチップの3種類について引っ掛かり、縁石の発見、連続歩行の3点について実験を行った結果curved、マシュマロ、ノーマルの順に成績が良かったのだそうです。この知見からもわかるように、接地面積が大きくても縁石発見の成績が悪くなることはありません。ひっかかりを逃がすパームチップも縁石をとらえた時の触覚情報が大きく減衰することはありません。訓練士はそれぞれの石突の特性を十分理解し、訓練生の特性にあった石突が選択できるようにするべきでしょう。
なお石突きは磨耗する性質のものですから、シャフトが露出する前には交換しなければなりません。石突をシャフトから外すためには、石突の根元部分に熱湯をかければ素材が柔らかくなるので、簡単に引き抜くことができます。

視覚障がい教育について

見えない・見えにくい子どもの幼児期について

就学前までの幼児期は子どもが大人の援助を受けながら心身共に著しい発達を遂げる時期です。歩く力についても子どもの運動機能の基盤として育成されていきます。しかし、子どもの見えない、見えにくいという状況は、外界の視覚的空間情報の不足を生じ、危険に対する警戒心を招くことともなり、動きや行動を起こしにくくしてしまいます。さらに人の動作行動を見よう見まねで学び難く、影響を受けることになります。

見えない、見えにくい子どもの幼児期の歩行の目標には、まずひとり歩きができること、そして親しい大人の介添えがあれば安定して歩けることが挙げられます。そのためには音の方向を捉えて、まっすぐによい姿勢を保って歩く力を身に付けることが大切です。自宅などの限られた慣れた場所では早くから探索行動を積み重ね、身体や手で確認しながら空間の中に何が、どのように配置されているかを把握して目的の場所に移動できるようにしていきます。戸外では路面が変わったり、段差や勾配などに対応できたりする力も必要となります。

幼児は心と体を相互に関連させながら成長する時期として歩行の確立への支援にも、歩く形態や技術の取得のみに偏らない全体的な発達の促進が目指されます。介添えをする大人は歩きながら周囲の状況を説明し、子どもは安心して歩く中で自らも自動車などの走行、人とのすれ違い、街の様子等に関心を寄せ、音やにおい、空気の流れなどの環境の把握をし、場所の手がかりを持てるように配慮します。見えない、見えにくい子どもには運動のできる安全な環境作りをして身体全体の運動能力の向上を図りながら歩行の力も養いたいと思います。

  • 参考文献
    ・猪平眞理 編著 『視覚に障害のある乳幼児の育ちを支える』
     慶應義塾大学出版会 2018年
    ・香川邦生 編著 『五訂版 視覚障害教育に携わる方のために』
     慶應義塾大学出版会 2016年
  • 参考ウェブサイト
    全国視覚障害早期教育研究会 http://zensoken.org/contact.html

視覚障害教育における多様な学びの場

視覚障害教育における多様な学びの場

インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要です。小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが必要でとされています。これは、視覚障害教育においても同様です。

次に視覚障害教育における学びの場を示します。

(1)

視覚障害特別支援学校(盲学校)
全国82校(全国盲学校長会加盟校数)あり、多くの学校に幼稚部・小学部・中学部・高等部(本科・専攻科)が設置され、幼児期からの一貫した教育を行っています。幼稚園・小学校・中学校・高等学校に準ずる教育を行いますが、「自立活動」として,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導が系統的・継続的に行われます。歩行指導もこの一環です。全国的に在籍者数が減少の一途をたどっており、大きな課題となっています。令和4年度は4,764人であり、中には在籍者数が10人未満の学校もあります。なお、全国で1万人を超えていた時期(昭和34年がピーク)もあります。

(2)

弱視特別支援学級
小・中学校に設置されている弱視特別支援学級は、「拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの」を対象として開設されています。
子供が可能な限り自らの力で学校生活が送れるよう、例えば、眼疾患によってまぶしい場合があるため遮光カーテンや調光できる照明を設置したり、一人一人に拡大読書器を配置したりするなどの施設・設備の整備や工夫をしており、全国的に学級数、在籍者数ともに増加傾向にあります。

(3)

通級による指導(弱視)
通級による指導は、通常の学級に在籍し、各教科等の授業を通常の学級で受けつつ障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導を例えば「目の教室」といった特別の指導の場で受ける教育の形態で、平成5年度から制度化されました。平成30年度4月1日から高等学校においても通級による指導が制度化されています。
通級による指導(弱視)は、「拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの。」を対象として設置されています。通級による指導(弱視)で学ぶ子供の数は増加傾向にあり、令和3年度は小学校196人、中学校39人、高等学校4人となっています。

(4)

通常の学級
通常の学級で視覚障害のある子供が各教科等を学ぶ場合,障害による困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要です。例えば,拡大教材等を活用することや,実験や観察の際に危険のない範囲で近づいて見ることができるようにすること,照明や外からの光の入り方に配慮して教室内の座席の位置を検討すること等で見えにくさに配慮することなど,教育における合理的配慮や、子供一人一人の教育的ニーズを踏まえた指導が大切となります。

盲養護老人ホームについて

盲養護老人ホームとは

養護老人ホームは、老人福祉法に規定する老人福祉施設であり、また、社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業です。市町村は65歳以上の者であって、環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な者を養護老人ホームに入所させ、養護するとともに自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行います。

なかでも盲養護老人ホームは「一般の養護老人ホームにおいては、晴眼者中心のケアとなりがちであり、視覚障がい者にとって精神的な安定が得られない」「視覚障がいのある高齢者が自立した生活が送れるよう支援していく上で、視覚障がい者に配慮された設備や環境の下で点字の理解や歩行訓練の指導などに係る専門性が必要である」といったニーズを満たすために設置され、視覚に障がいのある入所者の数が入所定員の7割を超えることとされています。

盲養護老人ホームの専門性は、ピアサポート機能を活用しながら入所者の精神的な安定を図った上で、生活上の役割を持つなどの自立支援を図り、自己効力感を感じながら自己実現に向けた支援を行うことにあります。また、視覚障がいにより社会生活全体の80%~90%の情報が遮断されると言われていることから、入所者への情報伝達と収集を徹底しています。施設内環境の整備としては、施設内における点字表示、カラーリング等をはじめ、点字がわからない方でも目印や手すり等に手がかり(鈴やぬいぐるみ等)を設置することで位置を確認しやすくしています。加えて、施設内を歩行する際は利用者同士がぶつからないように右側通行をするなど、入所者が自立した生活ができるように設備面やルールを工夫しています。

盲導犬施設について

盲導犬施設

盲導犬は身体障害者補助犬法に明記された3種類の補助犬のひとつです。
盲導犬施設の指定法人は、国内に11ヶ所あります(2023年4月末日現在)。
初めて盲導犬を希望する方は、11団体いずれかの盲導犬協会を選択し、面接などを経て、盲導犬候補犬と一緒に、4週間以上の合宿訓練を受け、盲導犬使用者となるために認定を受ける必要があります。全盲の方、ロービジョンの方も対象となります。盲導犬協会ごとに貸与規定や申し込み方法が異なるため、施設の見学や体験歩行会に参加したり、お電話等で相談されると良いと思います。

感染拡大防止のために(手引き誘導について)

新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防における視覚障害者の手引き誘導のガイドライン

2020年8月7日
日本歩行訓練士会

日頃より当会の活動に対しご協力いただき誠にありがとうございます。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、視覚に障害のある方々の生活にも大きな影響が出ており、とくに外出時の手引き誘導に関しては、当事者の方だけでなく、支援にあたっている方々からも不安の声や戸惑いが出ております。

そこで日本歩行訓練士会では、全国で活動している歩行訓練士から意見を集め、支援者向けのガイドラインを作成しました。状況が各地で異なり、また刻々と変化しています。その中で画一的なガイドラインを提示することは難しいことは重々承知しており、今後も柔軟な対応が必要と認識しています。

今回は、われわれ歩行訓練士の立場で、「安全性の確保」という第一義的な視点での提示となっております。
すでに皆さまにおかかれましても対応されているかもしれませんが、今後の感染状況の変化等において検討する際のご参考になれば幸いです。

直接読む方は以下からどうぞ。以下、ガイドラインテキスト版・・・

新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防における視覚障害者の手引き誘導のガイドライン

2020年8月7日
日本歩行訓練士会

新型コロナウイルスの感染拡大の予防に向けた取り組みにおいてはいまだ全国的にも予断を許さない状況が続いています。
このような状況の中、視覚に障害のある方々の生活にも大きな影響が出ており、その一つとして「外出時の手引き誘導」においては視覚障害者だけでなく、同行援護従業者や医療従事者、公共交通機関の職員等からも今後のガイドラインを求める声があがっております。
日本歩行訓練士会では、全国で活動している歩行訓練士から情報を集め、訓練士の視点から手引き誘導の方法についてのガイドラインを出すことで、視覚障害者のみならず、様々な場面で支援にあたられている方々の安全、安心に寄与していく所存です。
なお、本ガイドラインの内容は、今後の政府対処方針の変更のほか、新型コロナウイルスの感染の地域における動向や専門家の知見、意見等を踏まえ、必要に応じて適宜改訂を行います。

1.手引き誘導の基本的な考え方

感染予防の対策をしたうえで手引き誘導の方法は「いつも通りに」!
日常生活を安全に過ごすために濃厚接触をせざるを得ない視覚障害者の特性をまず理解したうえで、下記の基本的な考えのもと支援にあたるようにします。
視覚障害者を手引き誘導する際には安全性・安心感の確保が最優先であり、その安全性の確保の中には新型コロナウイルスの感染防止も重要な観点として含まれます。
一方で感染の防止を優先するあまりにつまずきや転落、物への接触等、危険な状態を招くことは避けなければならず、感染防止と危険回避の両立をもって安心感の確保を実現するよう工夫していくことが求められています。

ポイント!
  • 手引き誘導の方法は原則、肘の上をつかむ、もしくは肩に手を置くなどの方法をとります。
    (手引き誘導の方法は、盲導犬使用者も含め視覚障害者の数だけあるので話し合うことが大切です)
  • 手引き誘導の際に白杖や盲導犬、腕などを引っ張ったり、後ろから押したりするような方法は取らないでください。
  • 検温、マスクの着用、手洗い、消毒等の配慮は双方が十分に注意するようにします。
  • 向かい合っての会話は避け、話す際には双方とも同方向を向くようにします。
  • 視覚障害者が直接ものに手で触れる機会は必要最低限にし、口頭での説明に努めるようにします。
  • マスクやフェイスシールドの着用により声が聞こえにくくなりますので、はっきりと確実に伝えるようにします。
  • 飛沫防止フィルムの設置やベンチの移動、間隔を空ける列など、従来の環境と変化している場合は状況を説明します。

2.場面別手引き誘導の方法

(1)
同行援護従業者による手引き誘導
感染予防の対策を十分行った上で、手引き誘導の方法は肘の上をつかんでもらう、もしくは肩に手を置いてもらう方法によることを原則とします。
事前に外出の目的を確認し、視覚障害者と相談しながら、混雑する場所やルートを避けて目的地に向かうように努めます。
同行援護時に従事者がアームカバーを使用する場合は、対象者ごとに交換(アームカバーは洗濯)します。脱ぐ時は静かに端から外側を内側に入れ込むようにし、カバーを扱った後にはよく手を洗います。
携帯用の消毒液を携帯し、こまめに消毒するように心がけるようにします。
※マスク、アームカバーの着用は基本とし、フェイスシールド、ゴーグル、手袋については必須ではありませんが地域の感染状況を考慮し判断をしてください。
(2)
公共交通機関の職員による手引き誘導
改札を通過する際には声掛けをしてください。視覚障害者の希望に応じて手引き誘導を行いますが、駅ホーム上や階段などは特に安全確保に努めます。切符の購入などの際は間隔を空けて並ぶことが難しいため、具体的に並ぶ位置を指示する、もしくは窓口での購入対応をお願いします。
(3)
医療機関・介護施設の職員による手引き誘導
通常の診察、介護の際には十分に感染予防をしたうえで手引き誘導をします。
視覚障害者に風邪の症状、または感染が疑われる症状が認められる場合には各医療機関、介護施設の感染予防対策をとりながら、いつも通りの手引き誘導をします。
(4)
一般市民や通行者による手引き誘導
感染予防の対策として行っている「距離を保って列に並ぶこと」や、「間隔を空けて席に座ること」が難しい場合があります。
その他にも困っている視覚障害者を見かけたら声掛けをし、手引き誘導の方法を視覚障害者に尋ねてください。
ただし、マスクの着用等、感染防止対策を双方が取っていることを原則とします。
また支援者がどのような対策をしているのかを情報として視覚障害者に伝えてください。

3.その他

2メートルの物理的な距離をとるという観点からの工夫として視覚障害者と支援者が直接腕や肩に触れずに白杖、棒、紐、ペットボトル等を介して手引き誘導する方法も提案されていますが、視覚障害者が自ら望む場合を除き、距離をとることでの危険性や心理的不安を考慮することが非常に重要であります。
特に転落の危険性のある駅ホームや段差のある場所では視覚障害者、支援者の双方が慣れている基本姿勢を維持し、不慣れな方法をとらないようにしてください。
視覚障害者にとっては、支援者と物理的な距離をとることで却って安全性を損ない、場合によっては命にかかわる危険にさらされる状況が生じ得ることを理解していただきますようお願いいたします。

注記
視覚障害者の歩行介助の呼称については手引き以外にもガイド等も使われていますが、ここでは『手引き誘導』と表記させていただきます。

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