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視覚障がい教育について

見えない・見えにくい子どもの幼児期について

就学前までの幼児期は子どもが大人の援助を受けながら心身共に著しい発達を遂げる時期です。歩く力についても子どもの運動機能の基盤として育成されていきます。しかし、子どもの見えない、見えにくいという状況は、外界の視覚的空間情報の不足を生じ、危険に対する警戒心を招くことともなり、動きや行動を起こしにくくしてしまいます。さらに人の動作行動を見よう見まねで学び難く、影響を受けることになります。

見えない、見えにくい子どもの幼児期の歩行の目標には、まずひとり歩きができること、そして親しい大人の介添えがあれば安定して歩けることが挙げられます。そのためには音の方向を捉えて、まっすぐによい姿勢を保って歩く力を身に付けることが大切です。自宅などの限られた慣れた場所では早くから探索行動を積み重ね、身体や手で確認しながら空間の中に何が、どのように配置されているかを把握して目的の場所に移動できるようにしていきます。戸外では路面が変わったり、段差や勾配などに対応できたりする力も必要となります。

幼児は心と体を相互に関連させながら成長する時期として歩行の確立への支援にも、歩く形態や技術の取得のみに偏らない全体的な発達の促進が目指されます。介添えをする大人は歩きながら周囲の状況を説明し、子どもは安心して歩く中で自らも自動車などの走行、人とのすれ違い、街の様子等に関心を寄せ、音やにおい、空気の流れなどの環境の把握をし、場所の手がかりを持てるように配慮します。見えない、見えにくい子どもには運動のできる安全な環境作りをして身体全体の運動能力の向上を図りながら歩行の力も養いたいと思います。

  • 参考文献
    ・猪平眞理 編著 『視覚に障害のある乳幼児の育ちを支える』
     慶應義塾大学出版会 2018年
    ・香川邦生 編著 『五訂版 視覚障害教育に携わる方のために』
     慶應義塾大学出版会 2016年
  • 参考ウェブサイト
    全国視覚障害早期教育研究会 http://zensoken.org/contact.html

視覚障害教育における多様な学びの場

視覚障害教育における多様な学びの場

インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要です。小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが必要でとされています。これは、視覚障害教育においても同様です。

次に視覚障害教育における学びの場を示します。

(1)

視覚障害特別支援学校(盲学校)
全国82校(全国盲学校長会加盟校数)あり、多くの学校に幼稚部・小学部・中学部・高等部(本科・専攻科)が設置され、幼児期からの一貫した教育を行っています。幼稚園・小学校・中学校・高等学校に準ずる教育を行いますが、「自立活動」として,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導が系統的・継続的に行われます。歩行指導もこの一環です。全国的に在籍者数が減少の一途をたどっており、大きな課題となっています。令和4年度は4,764人であり、中には在籍者数が10人未満の学校もあります。なお、全国で1万人を超えていた時期(昭和34年がピーク)もあります。

(2)

弱視特別支援学級
小・中学校に設置されている弱視特別支援学級は、「拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの」を対象として開設されています。
子供が可能な限り自らの力で学校生活が送れるよう、例えば、眼疾患によってまぶしい場合があるため遮光カーテンや調光できる照明を設置したり、一人一人に拡大読書器を配置したりするなどの施設・設備の整備や工夫をしており、全国的に学級数、在籍者数ともに増加傾向にあります。

(3)

通級による指導(弱視)
通級による指導は、通常の学級に在籍し、各教科等の授業を通常の学級で受けつつ障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導を例えば「目の教室」といった特別の指導の場で受ける教育の形態で、平成5年度から制度化されました。平成30年度4月1日から高等学校においても通級による指導が制度化されています。
通級による指導(弱視)は、「拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの。」を対象として設置されています。通級による指導(弱視)で学ぶ子供の数は増加傾向にあり、令和3年度は小学校196人、中学校39人、高等学校4人となっています。

(4)

通常の学級
通常の学級で視覚障害のある子供が各教科等を学ぶ場合,障害による困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要です。例えば,拡大教材等を活用することや,実験や観察の際に危険のない範囲で近づいて見ることができるようにすること,照明や外からの光の入り方に配慮して教室内の座席の位置を検討すること等で見えにくさに配慮することなど,教育における合理的配慮や、子供一人一人の教育的ニーズを踏まえた指導が大切となります。

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