視覚障害者の踏切での事故をなくすために
視覚障害者にとって踏切の単独での横断は危険を伴います。
実際、2021年、2022年と続けて視覚障害者が踏切内で列車と接触し亡くなられるという痛ましい事故が発生してしまいました。
国では2022年6月に「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」の改定を行い、踏切道での視覚障害者の誘導について、
①踏切手前部に視覚障害者誘導用ブロックを設置(積極的な整備を求める内容)
②視覚障害者が踏切の外にいると誤認することを回避するため、踏切内に表面に凹凸のついた誘導表示等を設置(さらに高い水準として望ましい整備内容)と規定しましたが、特に踏切内の誘導表示については具体的な明示がなく、現在も検討が行われています。
日本歩行訓練士会では国土交通省の専門会議への出席や、当事者団体の皆さまと協力し、踏切周辺の安全な環境整備に向けての取り組みを行ってまいります。
これ以上の踏切事故を防ぐため、今できる対応を皆様にもお願いいたします。
視覚障害者へのお願い
- 基本的に遠回りであっても迂回路があれば踏切の横断は避けるようにしてください。
- 日常生活上、単独での踏切横断が必要な場合には、踏切周辺の環境把握をすることと、横断方法を知るために、歩行訓練士等と訓練や確認作業を行ってください。
- 踏切横断の際、少しでも不安があれば周囲に人に声をかけ援助依頼をし、単独で横断することを避けてください。
- 踏切内で内外がわからなくなった場合には、近いと思う遮断桿にぶつかるまで移動し、遮断桿の真下に棒と平行に向き、頭を隠すような格好で身を守ってください。
一般の方々へのお願い
- 踏切手前で視覚障害者を見かけた際には、一声をかけて、援助の依頼があれば一緒に横断してください。
- 踏切内で視覚障害者が迷っている場合には、声をかけて速やかに踏切外へ誘導をお願いします。
行政・鉄道会社へのお願い
- 視覚障害者が安全に踏切を横断できるための方策を当事者団体や歩行訓練士とともにご検討願います。
- 現状のガイドラインでは踏切内の整備方法が明確ではないため、まずは踏切手前の視覚障害者誘導用ブロックの設置をお願いします。
- 地域の視覚障害者を対象とした踏切の安全な横断に関しての講習会等の機会を作ってください。
2023年4月27日
日本歩行訓練士会